2023/10/22
IFAとは、IFAの独自性とその強みで紹介した通り、お客様と証券会社の間に入って、お客さまに最適な金融商品を提案することを目的とした職業である。従来の証券会社の営業マンと違い、自社の商品のみを営業するのではなく、複数の証券会社と契約し、契約会社の商品の中から最適なものを選ぶことができるのが特筆すべき価値だ。
しかし、IFAの営業においては、一つ難点がある。それは「会社の看板が使えない」という点だ。
一般に、大手証券における営業マンというのは、訪問先において、自己紹介の際、必ず「〇〇証券の△△です」と名乗る。これだけで顧客に安心を与え、一定の信頼を得ることができるわけだが、一方IFAは、特定の大手証券に属するわけではないので、自分の実力によって信用してもらわなくてはならない。ここさえ解決できれば、オンラインなどを活用した自由な働き方、個人単位での勤務ゆえの裁量権、実力次第では年収を倍にすることも可能であるなど、大手証券での勤務体制に嫌気がさした営業マンにとっては魅力的な仕事なのだが…
そこで、この問題をどう解決するかだが、ここにおいて重要なポイントは、IFAは顧客と証券会社の仲介をするだけで、顧客が最終的に取引をするのは大手証券であるという点だ。この部分を強調し、IFAが提案する商品の全てが大手証券のものであることをアピールし、かつ先述のIFA特有の優位性を交えて説明すれば、きっと信頼してもらえるだろう。
上述の方法により、一定の顧客を得ることができれば、次は実績を作ることが大切になる。実績とは当然、顧客の利益を最大化した経験のことだが、これを達成するには、自身が契約する証券会社の商品を全て完全に理解し、常に金融市場に目を向けるなど、地道な努力が要求される。しかし、この過程を経て初めてIFA特有の価値である「複数の証券会社の商品の中から最適なものを提案する」ことが実現できる。勉強不足では、顧客にとって何が「最適」かがそもそもわからないからだ。しかし逆に先述のような努力を重ね、IFAとしての価値を存分に発揮できれば、実績は比較的簡単についてくるものだ。そして実績さえ作れば、次の新規開拓は格段に効率的になっていく。このように正のスパイラルを回していくことが重要である。
このように勉強を続け、顧客にユニークな価値を提供し続けるIFAが増えていけば、今後世間においてIFAの認知度はさらに高まっていき、IFA個人ではなく、全てのIFAが正のスパイラルに乗ることも夢ではない。世間の認知度が上がることは、上記の難点が解決に向かうということだからだ。例えば、いくらIFAの利点を説明しようとしても、IFAに対する理解が無い顧客に関しては、IFAの価値を説明する前に門前払いとなることも考えられるが、世間の認知度が上がれば、少なくとも名前は知っている業種として認識してもらえることが増え、このような門前払いも減るだろう。そうなればIFAはより一層金融業界における存在感を示すことになり、IFA個人も少なからず利益を得ることができるだろう。
末筆となるが、このような大手証券特有の難点に頭を抱えている読者は多いだろう-お客様の利益を最大化できる商品よりも、新商品など、自社の売り出したいものを優先して売る傾向、地方に転勤となった途端に一変する生活(もしくはその不安を抱えながらの勤務)、成果を出しても年収への反映がイマイチ…といった点である。さらに、こちらの記事でも解説したように、大手証券はこの先、必ずしも明るい未来を迎えるとは限らない。そんな中優秀な読者のみなさんがIFAをはじめとした他業種への転職に今ひとつ踏み出しにくい理由は、やはり転職によって大企業特有の安定性を手放すことへの不安を感じていらっしゃるからではないだろうか。しかしIFA法人によっては、IFAを社員として起用し、固定給を支払う雇用形態も用意している。そのような法人へ転職すれば、年収の安定性もある程度担保しつつ、上で述べたような大企業特有の難点を全て完全に解決することができる。もちろん、自信がついてきたらインセンティブの部分を多く設定することも可能である。なんと取引で上がる利益のうち、70%がIFA個人に入るという形態もある。IFAとは、知名度こそまだ十分にないが、営業マンの理想に少なからず近づける職業であると言える。